2016年1月からマイナンバー制度がスタートします。
制度自体のメリット・デメリットは色々あるかと思うのですが、副業をしているサラリーマンにとって最も気になるのは「この制度の導入によって副業がバレたりしないだろうか?」という点だと思います。
私自身、それがとても気になりましたので、マイナンバー制度と副業バレの関連性について色々と調べてみました。
photo credit: Tax Forms and Calculator via photopin (license)
そもそもマイナンバー制度とは?
そもそもマイナンバー(個人番号) とは「国民一人ひとりが持つ12桁の番号」のことで、「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」を目的に導入されます(※2015年10月から番号の通知が始まり、2016年1月から実際に運用がスタート)。
ものすごく簡単に言ってしまうと ネットサイトやレンタルショップなどの「会員ID」のようなもので、社会保障、税、災害対策の行政手続の場面でマイナンバーが必要になります。
副業バレに関連する手続きとしては、例えば「支払調書」や「確定申告書」といった書類の作成時にマイナンバーの提出・記載が求められます。
これは国の機関だけで利用されるものではなく「社会保障・地方税・災害対策に関する事務やこれらに類する事務で、地方公共団体が条例で定める事務にマイナンバーを利用することができ」るとされています。
マイナンバーで制度的に副業がバレる?
マイナンバー制度が導入されることによって、なにか制度的に副業がバレるような仕組に変化したりするのでしょうか?
多くの副業サラリーマンにとって気になるポイントは気になるのはココだと思います。
ネットにもいくつか関連した記事が投稿されていますが、イマイチ判然としなかったので、政府広報に電話で直接問い合わせてみました(上記ページに「マイナンバー制度に関するお問い合わせ」として電話番号が掲載されています)。
電話で確認した内容
で、その際の電話の内容を要約すると以下のような感じになります。
Q1:マイナンバー制度が導入されたら 副業していることが本業の会社にばれるか?A1:バレません。
Q2:自分の年間収入のデータを税務署以外・・・例えば本業の会社などが閲覧できるようになるのか?A2:なりません。本業の会社、副業の会社がぞれぞれ確認できるのは、自分の会社のデータだけです。
Q3:収入が発生する場面ではすべてマイナンバーの記載・提示が必要になるのか?A3:源泉徴収を伴うような収入・・・法定調書を取り交わすものに関してはすべて必要になります。※Q3に関する詳細は「マイナンバー制度:アフィリエイトの場合はどうなるのか主要ASPに訊いてみた」の記事をお読みください
つまり結論からいうと"マイナンバー制度が導入されても、副業バレに繋がるような新たな制度的な変化はない"ということです。
副業がバレるんじゃないの?と心配する方が想定しているのはQ2のような事態…つまり、税務署が保管する自分の「年間収入の合計データ(本業・副業の合計)」を、本業の会社が確認できるようになるのではないか?…ということだと思うのですが、上述の解答にあるようにそのようなことは出来ないそうです。
ですから現時点では、"従来の副業バレ対策をしっかり行っている方"であれば、マイナンバー制度が導入されたとしても、新たに副業バレが発生する機会が増えたわけではない・・・と考えて良さそうです(もちろんどんな時でも「想定外の事態」はおこりえますから "しばらくは慎重に推移を見守るべき"という注釈つきではありますが)。
マイナンバーで副業がバレる人とは?
ただしマイナンバー制度の導入によって、従来よりも「副業がバレる"可能性" が高くなる人」が増えることは確かだと思います。
従来、しっかり対策を行ってきた方には関係のないことではあるのですが、例えば「確定申告?なにそれ?」という方は危険です。
"確定申告? なにそれ? "の危険性
週刊東洋経済の2015年10月3日号に「夜の街で働く「副業キャバ嬢」がいなくなる日-“副業する人”を襲う「マイナンバー」の恐怖-」という衝撃的なタイトルの記事が掲載されました。
記事の抜粋がネットにも掲載されていますので、是非読んでみてください(ちなみに 記事を書いているのは「ホンマでっか!?TV」でお馴染みの門倉先生です)。
この記事、タイトルだけを読むと「マイナンバー制度が導入されると 副業がバレちゃいますよ」というお話なのかと勘違いしてしまいますが、実際に読んでみれば分かるように、この記事で想定されている「副業がバレちゃう人」には、ある前提があります。それは…
「副業収入があるにも関わらず確定申告をしていない人の場合は…」ということ。
記事の内容を簡単にまとめると以下のようになります。
この記事が言っているのは「従来までは 税務署の調査力の限界(人的コストの問題)として、見逃されてきた小額の脱税疑惑案件も、マイナンバーの導入で発覚しやすくなりますよ」ということです。
要するに「キチンとしたバレ対策をとってこなかったため、これまでも副業バレする可能性が十分にあったにも関わらず、なんとなくその可能性をすり抜けてきた幸運な人たち」は今後これまでみたいにはうまくいかなくなるよ・・・という話なのです。
であれば「ちゃんと副業分を確定申告すればいいだけのこと」なのですが、ただ実際問題として、そもそもこれまで副業バレ対策をして来なかった人にとって「確定申告する」という行為はハードルが高く感じられるでしょうし、付け焼刃で申告したとして余計に副業バレの可能性が高まる可能性もあります(※住民税を特別徴収にしてしまう、そもそも給与所得だからどうしようもない・・・など)。
ですから そういう意味で、マイナンバー制度の導入で「間接的に」副業バレする可能性が増える人たちが増えてしまうのです。
副業バレ対策をしっかりと!
とはいえ、当ブログをはじめとした「副業系ブログ」で一般的に語られている、以下のような大原則を守っていれば、マイナンバー導入の有無に関わらず、多くの場合で副業バレは回避できるわけですから、現時点でそこまで悲観的になる必要はないのではないでしょうか?
対策に関する詳細は「サラリーマンの副業がバレてしまう仕組と4つの回避策」の記事で紹介していますので参考にしてみてください。
そのほかの可能性
さて、上述のように「そもそも確定申告ってなに?」という程ではなく、ある程度知識がある方が犯しそうな失敗が「副業収入が年間所得20万円未満だった場合の住民税の申告漏れ」です。
あらためて基礎知識をおさらいしておくと、副業所得の納税用申告に関して覚えておくべき以下の2つのルールがあります。
(2)ただし20万円未満であっても住民税用の申告は必要である
このうち(2)を忘れている方(そもそも勘違いしている方)が多いのではないかと思うのです。
これも「従来 軽く考えられてきたポイント」ではないでしょうか?
マイナンバーは地方自治体でも活用されるようです。
これまでも、ルールどおりに納税を行ってきた方には関係ない話ではありますが、自分自身、この点留意しておきたいと思います。
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